ちょっと待って、たまごっちみくす(1)
たまごっちファンが待ちに待った、約1年ぶりの最新作「Tamagotchi m!x」の発売日まであと一週間をきりました。先日、続々とテレビニュースやネットニュースでたまごっちの話題が取り上げられたことで、興味を持った方も多いでしょう。
今作の売りは、世代を経るごとに、先祖の特徴を引き継いでいく「遺伝」。
これまでのたまごっちとは違い、一代目などの一部のたまごっちを除いて、プログラムによって決められた名前や性格をもたない雑種(ミックス)のたまごっちを育てることができるのです。
さらに、今回のたまごっちは、お世話を怠ると死にます。世代が途切れるイメージとのことです。こんな記事が登場しましたね。
これらのことから、2009年から5年間放送されていたアニメ「たまごっち!」や、7年前の作品「iD」から昨年の作品「4U+」までを知っている方ならわかることなのですが、その期間の作品はアニメの影響で、キャラクターの性格はアニメで定められているために、作中のたまごっちがアニメの設定のとおりにするために、しゃべるようになった。また、アニメには無い下品な描写や残酷な描写を回避するために、苦肉の策として、死の概念の削除などが行われてしまったのです。
今作では、こうしてアニメなどの影響で「幼稚園児向け」と化してしまったたまごっちが、大人にも持ちやすい作品になるよう努力がなされたのですね。
また、東京おもちゃショーでは、「口コミで広がることを想定」した販売戦略をとるとパネルに記されていました。つまり…
A「見て私のたまごっち!かわいいでしょ。あなたも」
B「きゃーかわいい!私のはこんなの」
C「いいなあ、かわいいな。私も、自分だけのかわいいたまごっちを育てて、見せ合いっこしたいな」
というふう。どうです、買いたくなったでしょう。初代のたまごっちも、育てたたまごっちの見せ合いっこをしたいJKのあいだで広まりましたから、原点回帰というワードにふさわしい売り方ですね。しかも、今回は、十人十色のさまざまなたまごっちが育ちますから、初代のようにマンネリ化が原因で飽きられることもありませんからね。
さて、ここからが本題。
どうも、この流れはできすぎてはいませんか。
そう、まだ推測の域を出ませんが、疑われるのは炎上商法、もしくはステマです。
下記のように、たまごっちについてのニュースが二つ、立て続けに発表されましたね。
「たまごっちは死ななくなってしまいました!」
か~ら~の~…
「たまごっちは20周年!今作ではたまごっちは死にます!」。
たまごっちのファンからしたら、
「たまごっちから死の描写が取り払われはじめたのは7年も前だし、完全になくなったのも2年前なのに、なんで今更?」
という感じでしたよね。
一つ目のニュースに対しては「え、死ななくなったの!?昔のように戻ってほしい」と思わせて、二つ目のニュースに「へえ、原点回帰か!買ってみよう」と反応させるためのシナリオがある…のかもしれない。
最初に言った、「先日、続々とテレビニュースやネットニュースでたまごっちの話題が取り上げられたことで、興味を持った方」というのは、悪く言えば、このシナリオ通りに踊らされた人ということになりますね。買う前に、冷静に考えてから買うのをお勧めします。
それから、「口コミで広める」というコンセプトがあるのだから、起爆剤となる流れを作らなければなりません。
初代たまごっちのときは、渋谷系で、当時JKのカリスマとして人気だった、安室奈美恵さんがその役割を担ってくれました。これはステマではありません。
つまり、「安室奈美恵さん、これを遊んでテレビで宣伝してね」とバンダイがお願いしたわけではなく、彼女が自ら興味を持って買って、下のような感じで、テレビで紹介してくださった。これを機に、JKのあいだで爆発的に流行することになったというわけ。
ところが、現在のたまごっちは、先述の理由から、「幼稚園児のおもちゃ」となってしまったので、このときのように、みずから買ってくれる人がいない。バンダイ側から働きかけをする必要がある。
だから、今回は原宿系のカリスマ店員であるゆうたろうくんさんにお願いをして、こんなキャンペーンを開催することにしたのです。
【たまごっちデパート原宿】
— たまごっち (@TMGC_net) 2016年7月8日
7/16Tamagotchi m!x発売記念!
話題のカリスマ店員ゆうたろうくん来店の超レアイベントをたまごっちデパート原宿にて開催!#たまごっち #ゆうたろう #サンニブ #サントニブンノイチ #原宿 pic.twitter.com/ojLpTMKtTt
たまごっちたまごっちたまごっちたまごっち〜〜🤔〜〜♩ ♩ ♩ https://t.co/s8BKZVDmd3
— ゆうたろうくんは9日と10日名古屋店 (@aaaaao_e) 2016年7月8日
安室奈美恵さんのような役割を担わせたいのでしょう。でも、キャンペーン内容から察するに、こんなキャンペーンでは
「(買ったたまごっちそっちのけで)キャー!チェキとってー、握手してー!」
となってしまう危険だってあります。もしかしたら、握手とチェキのために買ったたまごっちは、未開封のままどこかに転売されてしまうかも…
たまごっちの面白さをアピールするためではなく、たまごっちをとにかく売るためだけのキャンペーンなのです。もし偶然遊んでもらえても、彼女たちに、面白いと思ってもらえる確率は100%じゃありません。
ゆうたろうくんさんは何も悪くありませんが、これじゃ、流行の起爆剤としては不十分かもしれません。
あくまで自分の意見ですが、「有名人のたまごっちと通信してm!xするイベント」とかのほうが、よっぽど効果あると思います。有名人のたまごっちの遺伝子が自分のたまごっちの中に残るのですから。発売日に買った人に、先着で「後日m!xしてもらえる券」を渡せば良いかもしれない…。
まあ、商法について言いたいことはこんなところでしょうか。必死で劇場のようにシナリオを組まないとたまごっちが売れなくなってしまったというのは、少し悲しいです。やっぱり、こうしてたまごっちは消えていく運命なのでしょうか…。
また、再三ですが、続々と掲載されたニュースやキャンペーンでたまごっちを知った方は、どうか後悔のない買い物ができますよう、よく考えて本作を買ってくださいね。
次回は、たまごっちみくすのシステムに対する不安点について語る予定です。