たまごっちはオワコンブログ

1996年頃、一世を風靡した懐かしコンテンツ「たまごっち」。今も細々続いているものの、今は風前の灯火。そんなたまごっちがオワコンとなってしまった理由や、問題点を不定期で書きます。

オワコン基礎(1):アニメ編

さて、またまた不定期連載企画を始めます。その名も「オワコン基礎」!

いつまで続くかわかりませんが、しばらくよろしくお願いします。

 

ふだんオワコンbotが、口(?)が酸っぱくなるほど言っている自動ツイートの中で、多いネタの一つが、アニメにかかわるものです。今回は、それをピックアップする形で文章を書いていきます。

 

まず、地上波のテレビアニメの前身として、アニメ映画やショートアニメが2007年から始まり、その後、TV東京系列でアニメ「たまごっち!」が始まったのは2009年10月。この後、何度か放送時間は変わったものの、(後述の傑作選を除けば)2015年3月まで続く、わりと長寿の作品となります。さて、このアニメの、何が問題なのでしょうか。

 

一般的に、アニメというものは、おもちゃやゲームと違い、お金を払わなくても観られるので、小さな子供でも簡単に観られます。つまり……ファンの年齢層が下がる。

たまごっちの場合は、それが非常に問題だった。

アニメが始まる前のたまごっちを思い出してみましょう。メインのファン層は最初は女子高生、次にしばらく沈黙期間をおいたのち、小学生に移されました。

ですから、アニメ開始と同時に登場したたまごっち「Tamagotchi iD」も、対象年齢は、ターゲットの下限である、小学1年生の年齢である6歳に設定されていました。

しかし、小学生の女子というのは大抵、小さくて頭身が低いマスコットキャラクターより、「ちゃお」などに載っているような、キラキラのアイドルの女の子や、恋する乙女が好き。

では、小さくて頭身が低いマスコットキャラクターばかりが登場する「たまごっち!」は、だれが観るのでしょうか。

答えは、幼稚園児。たまごっちのおもちゃの対象年齢は6歳以上なので、おもちゃの内容と見合わないのです。

そんなことはいざ知らず、幼稚園児たちは、母親にたまごっちをおねだりする。しかし、買ってあげても、幼稚園児たちは文字が読めないから、本来の楽しみ方ができない。そもそも、買ってやっていいものかと困る母親もいる。そんな母親たちの悩みは、「たまごっち 対象年齢」と検索すれば、たくさん出てきます。

「…え?そんなに高い識字能力が、たまごっちを遊ぶのに必要なのか?表示されるのはせいぜい「ごはん」「おやつ」とか、単語ばかりではなかったか…?」

と思ったそこのあなた。アニメが始まってしまったことで、ひとつ問題が発生したのです。

それは、たまごっちたちの性格が、アニメによってしっかりと設定されてしまったこと。アニメの中では、たまごっちたちはもはや、人間の手の中で育てられるペットではありません。自分たちで物事を考え、自分たちの惑星のうえに社会を築き、しっかり言語をしゃべります。

そして、アニメを観て、たまごっちを買った子供たちに、違和感を感じさせないよう、おもちゃの中のたまごっちも、しっかりと文章でしゃべるようになったのです。「おなかがすいた」とか「あそびにいこう」とか。

 

さて、ふつう、人間というものは、自分の年齢に見合わない行動をするのは、恥ずかしいものです。

そこのあなた、「ベビーカーに乗り、バブーと言いなさい」と言われたら、すんなり出来ますか?「幼稚園児のスモックを着なさい」と言われたら?

こうして、メイン年齢層が下がったたまごっちも、上記に挙げられた「幼いもの」のひとつになってしまいました。だから、小学生ですら、たまごっちを持ったり、アニメを観たりするのは恥ずかしいことになってしまったし、もちろん大人なんか論外。たまごっちは、取っつきにくいジャンルとなりました。だから、どんなにアニメのキャプチャをtwitterにあげて、「たまごっちはいいぞ」と言っても、ファンは増えません。「ガルパンはいいぞ」とつぶやくだけでファンが増えるガルパンとは、根本的に違うんです。

 

それから、幼児向け作品に必要な要素は「なりきりグッズ」。たとえば、アニメに登場するキャラクターの所持品を模したおもちゃや、ヒーローや魔法少女に変身するためのアイテムの形をしたおもちゃ。

たまごっち!」でも、たくさんつくられました。バイオリンがとくいなたまごっちが登場すれば、その子のバイオリンはグッズ化されます。お化粧がとくいなたまごっちなら、パレット。

果ては、魔法の力で変身する二人組のたまごっちまで登場しました。彼女らが使っている変身バッグも、グッズになりました。

ここまできたら、もはや、「たまごっち」って何なんだ!?って思いませんか。育成ゲームじゃなかったんですか。グッズが迷走しすぎです。

 

つまりは、アニメ「たまごっち!」が原因で、たまごっちの方向性が大きく転換してしまったということです。すでに「たまごっち=幼児向け」のレッテルも貼られてしまいました。これから、ファンを拡大するには、大変な努力が必要なことは、確かです。

そんな逆境のなか、アニメが終わったうえで発売される、「たまごっちみくす」は、このレッテルを打破できるのでしょうか…